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分散型熱電併給プラントに対するドイツの新しい支援策(その3)

激変する再エネ電気の電源構成

 ドイツでは1990年から2015年までの四半世紀の間に再エネ電気の発電量がおよそ10倍になり、総発電量に占める比率も3.4%から31.6%にまで高まった。しかし電源別に見ると、伸び率に大差があり、電源別のシェアは大きく変化している。
 1990年当時は水力発電が92%を占め、残りのほとんどは固形バイオマスによる発電で賄われていた。その後、風力発電が急速に増加し、やや後れて太陽光発電がこれに続く。2015年になると、風力と太陽光で全体の63%を占めるようになり、横ばいで推移した水力発電は10%にまでシェアを落としている。
 他方、バイオマス発電は15年の時点で27%弱のシェアを確保している。比較的順調に伸びてきたと見てよいであろう。ただしこの27%のうち21%は、表3の参考欄にあるように、バイオガス、生物系廃棄物、汚水・水肥ガスによるもので、固形バイオマスだけに限ると5.8%ほどである。

 またFITの助成を受けているプラントの総設置容量は、15年時点で9,300万kWだが、このうちの86.4%は風力と太陽光で、バイオマスは7.4%、さらに固形バイオマスに限ると1.7%(160万kW)しかない。
 参考までに日本の現状を一瞥すると、FITで稼動しているバイオマスプラントの容量は300万kWを超え、このほかに認定済みのプラントが400万kW以上あるとされている。プラント容量がこれほど多くなった一因は、FITの買取価格がドイツに比べて相当に高いからである。また日本は出力規模による差別化をやらずにスタートしたために、1万kWを超える大型のプラントの参加が目立っている。さらにドイツでは石炭火力でのバイオマス混焼はFITの対象としていない。

再生可能な熱の9割をバイオマスが担ってきた

 いずれにしても、ドイツの場合、発電の分野で木質バイオマスが果たすべき役割は次第に小さくなっている。しかし熱供給の分野に目を転じると状況は一変する。前出の表3とまったく同じ形式の表を再生可能な熱について作成してみよう(表4)。
 過去の四半世紀のあいだに再エネ熱の最終消費は5.5倍に増加し、総熱消費に占める比率も2.1%から13.2%に高まった。再エネ電力に比べると、絶対量もシェアも伸びはずっと小さい。しかもシェアの伸びは、熱の総最終消費量がこの間に約23%減少したことにも助けられている。
 熱源構成で注目されるのは、15年においてもバイオマスが9割近くのシェアを保っていることだ。固形バイオマスのシェアは確かに低下しているが、その減少分をガス状・液状のバイオマスで埋められている。太陽光や地熱・ヒートポンプによる熱供給が意外なほど増えていない。
 この四半世紀に限っていえば、バイオマス、中でも固形バイオマスはきわめて重要な役割を果たしてきた。問題はこれが将来どうなるかである。

再エネ熱の将来予測

 再エネ電力の場合は、風力発電と太陽光発電に支えられて、今後とも順調に伸びると予測されている。ドイツ政府が掲げる目標は、電力の最終消費に占める再エネの比率を2025年までに40~45%、2035年までに55~60%、2050年には80%以上にすることだ。しかし再生可能な熱と輸送用燃料については、明確な目標が示されていない。この両者はバイオマスへの依存度が高いだけに、簡単には増やせないという事情がある。
 熱消費の将来展望についても、これまでにいくつかのシナリオが作成されてきた。図4がそのうちの一つで、ドイツバイオマス研究センター(DBFZ)の最近の報告書から引用した。一見して明らかなように、2020年から50年までバイオマスの熱はほとんど増えていない。資源の制約でこれまでのような伸びは期待できないということだ。
 ところが、太陽熱や地熱・ヒートポンプも簡単には増えそうにない。2050年においても再エネ熱の約半分は伸びの止まったバイオマスでカバーせざるを得ないのである。いずれにしても、再エネ熱の総消費量は電力よりも増え方がずっと緩慢で、2050年でも2倍程度にとどまっている。
 にもかかわらず、熱供給での再エネ比率は13%から55%に上昇すると予測されている。というのも、化石燃料起源を含む熱の総消費量が2013~50年のあいだに約42%縮小するという前提があるからだ(1,345→571TWh)。つまり、再生可能な熱の導入量を増やすというより、熱の消費を節約することで、再エネ比率を高めているのだ。

 熱の省エネ方策として、とくに重要視されているのは、建築物の断熱性能を高めて暖房用の熱需要を大幅に減らすことである。最近の統計によると、建築物1平方メートル当たりに要する暖房用の熱は全国平均で260kWhほどだが、将来的にはこれを1/2ないしは1/3にまで低めることができると言う。
 もちろんこれは技術的な可能性であって、これまでと同じようなペースで省エネが進むという保証はどこにもない。それだけにバイオマス、なかでも木質バイオマスは、信頼できる熱の供給源として重要な役割を担うことになろう。発電するにしても熱供給をベースにしたものでなければない。また熱の需要があちこちに分散している以上、比較的出力の小さい分散型の熱電併給が木質バイオマスプラントの基本である。

付記
本稿は2017年5月にウェブ週刊誌「環境ビジネスオンライン」に3回(5月15日、22日、29日付)に分けて掲載されたものを一本にまとめたものである。

 

動画:木質バイオマスエネルギー ~日本の森林を活かして 地球温暖化を救え!~