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ポストFITの入札に困惑するドイツの木質バイオマス発電(その2)

助成期限の切れた発電プラントの更新問題

 ドイツのFITは2000年にスタートしているから、20年間の支援期限を迎える発電プラントがこの数年後から続々と出てくる。これらの既存プラントがまったく更新されなかったとしたら、バイオマス発電の総キャパシティは急速に縮小していく。その様相が図2に描かれている。

 2015年の時点で設置されたバイオマス発電プラントの容量は680万kW(再エネ発電全体の7.4%)で、木質系(リサイクル材、固形バイオマス、紙パルプ)に限ると160万kW(同1.7%)である。いずれにしても過去15年間に相当に速いスピードで伸びてきたが、設備の更新がなければ2020年から2035年まで同様の速いスピードで縮小することになる。
 問題は、助成期限が切れたあとも設備の改善、更新を図りながら運転を続けられるプラントがどれほどあるかである。昨今の卸電力の価格はkWh当たり3セント台にまで低下しており、大部分のバイオマス発電プラントは助成なしにはやっていけない。FITに次のラウンドがないとしたら、17年から始まる入札に加えてもらうしかないのである。

入札への参加を巡る紆余曲折

 EEG-2014の条文には、バイオマス発電を入札の対象から外すとは明記されていないが、筆者の印象では、小規模のプラントについては報償額を引下げたうえでFITを継続させ、規模の大きいものは、いずれ助成を打ち切るという方針のように思えた。バイオマス発電の業界団体もこのように解釈して、強く反発し、是正を求めたのである。
 翌15年の7月になって、経済エネルギー省から入札制度についての見解が示された。一般入札の対象として明記されたのは、陸上風力、洋上風力、太陽光発電の三者である。水力発電については今後の新設があまり見込めないことと技術改善の余地が乏しいという理由で対象から外れ、また地熱発電は計画プロジェクトの数が少なすぎて競争入札には向かないとされた。
 バイオマスについては新設プラントと既設プラントで判断が分かれている。まず新設プラントを入札に参加させるのは適切でないとした。というのも14年の制度改革で、今後の助成は低コストの風力、太陽光発電に重点をおくという基本方針が出ているからである。新設でバイオマスプラントの数を増やそうとすれば、当局が目標としている助成額にkWh当たり5~8セントの上乗せが必要となり、制度改革の意図に反すると言うのだ。
 他方、既存のプラントについては、業界団体などから、新しいプラントをつくるよりも、既存プラントの拡張、ないしはFIT終了後のフォローアップ助成でより一層の低コスト化が可能になるという指摘があり、ペンディングになった。継続審議である。バイオマスプラントからの発電量がすでに500億kWhに達しているだけに、図1のようなかたちでプラント数が減少するとしたら、その影響は計り知れない。どのみちある程度の存続を認めるしかないのだが、当局にも妙案がなかったのであろう。バイオマスプラントの入札参加やフォローアップ助成に関して広く一般の意見を求めている。
 この諮問に答えるかたちで、連邦バイオエネルギー協会(BBE)は「意見聴取に対する態度表明」を公表し(15年9月)、続いてドイツバイオマス研究センターがバイオマスの入札制度について、かなり詳細な提案を行った(16年1月)。後者の提案で筆者が注目したのは次の事項である。
★入札への参加は新設、既設の両方のプラントに開かれているべきで、助成期間は
 それぞれ20年と10年とする。また固形バイオマスとガス状バイオマスはコスト構
 造が違うことから入札を分けて行い、年ごとに交代で実施する。
★EEG-2014では、新設プラントの上限を10万kW/年としているが、これでは2021
 年からプラントの現存量が次第に減少していくことになる。また、熱電併給プラン
 トが多いことから、発電量のみならず、熱供給の縮小も避けられない。この上限を
 20万kW/年に引き上げるべきである。
★入札付値の上限は、新設プラントは一律に19セント/kWとし、既存プラントは過去
 5年間の平均報償額とする。
 この提案の一部はEEG-2017に取り込まれた。

EEG-2017に書き込まれたバイオマス入札の要点

バイオマス発電の最初の入札がこの9月に行われることになっているが、その具体的な実施方法についてはまだ公表されていない。EEG-2017に書き込まれた要点を摘記すると次のようになる。
 ① 電気出力150kW以上の新設および既設プラントは入札に参加できる。
 ② 入札で決められる設置容量の上限は、2017~19年:15万kWh、2020~22
   年:20万kW。
 ③ 助成期限の切れる既設プラントも10年間のフォローアップ助成が受けられる。
   ただし需要の変動に対応するフレキシブルな発電が要求されるようだ(入札の
   条件等についての詳細は公表されておらず、実際にどうなるかは現段階では分
   からない)。
 ④ 2017年の入札における付値の上限は、固形バイオマスの場合、新設:14.88セ
   ント/kWh、既設:16.90セント/kWh
 ⑤ リサイクル材(Altholz)で発電するプラントは、現在のEEGの支援期間が切れ
   たあとは入札に応募できない
 この規定は、関係業界の要望を一部取り込んだ妥協の産物である。その結果、制度改革の理念が多少歪められる一方で、バイオマス業界にも強い不満が残った。どこに問題があったのか。

動画:木質バイオマスエネルギー ~日本の森林を活かして 地球温暖化を救え!~